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京都大学・戸口田淳也 iPS細胞研究所(CiRA=サイラ)教授、池谷真 同准教授を中心とするグループは、8月1日、「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の治療薬候補を、iPS細胞を使って発見し、世界で初めて臨床試験を開始することを発表しました。

iPS細胞を使った創薬の試みは、細胞移植による再生医療と並んで進められています。

FOPは筋肉の中に骨が出現する難病で、国内患者はおよそ80人と推定されています。
2006年にこの疾患の原因が骨形成因子(BMP)の受容であるACVR1のアミノ酸置換変異であることは判明していましたが、変異受容体がどのようにして骨化のシグナルを伝えるのかがわかっておらず、有効な治療法が見つかっていませんでした。

今回戸口田教授らの研究チームは、まずFOPの患者らiPS細胞を樹立して病態を再現し、異所性骨化発生の引き金となるアクチビンAという物質を同定しました。
そして、アクチビンAが異所性骨化を誘導するのにmTORというシグナル伝達因子が関係していることを発見し、mTORの働きを阻害するのに既存薬であるシロリムス(ラパマイシン)が有効であることを確認しました。

iPS細胞を使用した創薬に向けた治験は世界初のことで、他にも「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」
や糖尿病、がん、心不全、筋ジストロフィーなどで創薬の研究が進められています。

iPS創薬、京大で世界初の治験開始!
(更新日:2017/08/03)
***参考***
『iPSで創薬 初の治験 京大、骨の難病向け』
(2017.8.1付 日本経済新聞)

『iPS創薬 実用段階 難病向け、開発素早く』
(2017.8.2付 日本経済新聞)

『iPS創薬に向けた世界初の治験を開始』
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/events_news/department/hospital/news/2017/170801_1.html (京都大学)
(最終閲覧2017.8.2)

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